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横アーチから全身に変化を出す方法を学んだのは…
「横アーチのアプローチで全身に変化を出す」ことが出来る事を、私に教えてくれたのは、有名なセミナー講師でも、先輩理学療法士でも、学校の先生でもありません
腰椎圧迫骨折の患者さんから、私はその事を学びました
今から約16年前…
当時の私は、今のように独立開業しておらず、病院勤務の理学療法士で,体幹や股関節のアプローチを中心に学んでいました

そんな私にとって、腰椎圧迫骨折の患者さんは、まさに学んだ知識を活かしてお役に立てるはずでした
ですが、その想いとは裏腹に、私は立ち座り時の腰の激しい痛みに対して上手くアプローチできずに悩んでいました
特に圧迫骨折後に、はじめてベッドから立ち上がる時の患者さんの表情は忘れる事ができません。ベッド柵を必死に握り、手に一生懸命力を入れて、必死に痛みをこらえながら立つ姿を、私はただ、「見ているだけ」でした
・圧迫骨折だから仕方ない
・まだ急性期だから仕方ない
そうやって割り切って、「今は仕方ない」と心の中であきらめていました
そんな私の姿を見かねて、声をかけてくれたのは、私より経験年数が20年上の大先生でした
早くに父を亡くしていた、私にとってその先生は年齢的にも、精神的にも父親のような存在でした。そんな大先生からの言葉は、今でも忘れていません
「山本、お前患者さんに本気出しているか?」
当時の私は胸をはって「はい!」と答えることができずに、ただ下を向く事しかできませんでした…
ですが、だからと言って、私も何もしていなかった訳ではありません。だけど、それでも患者さんに対して、役に立てているという気持ちを感じることができずにいたのです
なにもしていない訳じゃない。それでもどうしていいか分からないから困ってるんじゃないか!
心の中でそう思いつつも、私はその言葉を口に出す事はなく、ただうつむいているだけでした
少しの沈黙のあと…その大先生は一言だけ私にアドバイスをくれました
「痛みの勉強じゃなくて、立ち上がりの勉強をしてみたらどうだ?」
たった、一言のアドバイスでしたが、「痛み」に囚われていた私にとっては、大きなターニングポイントとなりました
「なんで、立ち上がりで痛いのに、立ち上がりの勉強しなかったんだろう…」と情けなさと恥ずかしも感じましたが、私は立ち上がりの勉強をはじめました
腰椎に負担のかかる立ち上がりはどっちだろう?

まず私が知ったのは、立ち上がるときには、2つの方法があることでした
・勢いを使った立ち上がり
・力を使った立ち上がり
勢いを使った立ち上がりは、私たちが普段よく使う方法です。この方法では、勢いを使って素早く立ち上がるため、体幹の屈曲は最小限ですみます。勢いを使うので「加速度を使った戦略」とも呼ばれます
一方、力を使った立ち上がりは、高齢者によく見られる方法です。体幹を大きく屈曲して立ち上がるのが特徴です。そのため動きはゆっくりになり、より多くの力が必要になるので「筋力を使う戦略」とも呼ばれます
この2つの立ち上がり戦略を知って、腰椎圧迫骨 折の患者さんに負担がかかるのはどっちだ?
という事をまず考えました。答えは当然体幹の大きな屈曲を伴う「力を使った戦略」の方ですよね。これだ!と思いました
この力を使った立ちあがりの戦略から、少しでもいい。勢いを使った立ち上がりへと動作を変えることができれば、きっと圧迫骨折の方でも痛みを軽減できるはず!
そう考えたのです。そして、そのためのポイントの1つは重心の前方移動…つまり前足部への重心移動という事も知りました
じゃあ、座る時のメカニズムはどうなっているんだろう?

次に、私が学んだのは「座り方」です。なぜなら、腰椎圧迫骨折後の患者さんは立つときはもちろんですが、座る時にもとても痛そうにしていたからです
そして私は座る時には、下腿の前傾に伴う前足部への重心移動が必要だという事を知りました。座り動作の初期にこ の前足部への体重移動がないと、重心が後方にいきすぎてしまうので、いわゆるドッスン座りになってしまいます
あっ!これも圧迫骨折の人がやっちゃいけない動作パターンだ!
と気づきました。では、重心が前方移動するためにはなにが必要か?という事を考えると、それは前足部に存在する横アーチだよね!という事に気づくのは自然の流れでした
足部と腰椎圧迫骨折がつながった瞬間でした
それから、私は足部の横アーチを整える事を試し始めました。ここまでくれば、あとはやる事はアプローチ法を考える事だけ。そう思っていました
理屈は分かった。あとは、どうやって結果につなげるか?
患者さんの前足部への荷重を促せば、たとえ離床直後の圧迫骨折の患者さんだとしても、立ち座りの痛みは軽減できるはずでした。理論的には完璧だと思っていました
ですが、肝心のアプローチ方法を私は知りませんでした
というのも、セミナーや文献を探してみても、「横アーチ」の評価とアプローチを実践的に解説してものを見つけることはできなかったからです
内側アーチ、外側アーチの評価アプローチはよく見かけるのに、なんで横アーチの事はほとんど書いてないんだよ…
そうやってため息をつきながら、読んでいた文献を途中でやめるという事繰り返していました
だけ ど、そんな時…またあの大先生の「山本!本気出してるか?」という言葉が頭に浮かび、私を助けてくれました
そして、私学びをとめることなくはついに…横アーチのアプローチの要となる、重要な秘密をある本からみつけました。その本は学生の時から持っていた、とある古典的な名著でした
伝説の名著に書かれていた、
横アーチの秘密

その本は、恐らく体の施術を行っているセラピストであれば誰でも知っている名著です。関節の機能、運動学を知りたければ、その本を読めば大抵の事は知ることができます
だけど、本当に運動学の事しか書いていないので、実践的な事を学べる訳ではありません。そしてなにより、内容が難しいので好んで読まれる本でもありません
ですが、だからこそ逆にその本の中には、臨床への突破口となるヒントがたくさん隠されています。そんな名著の中に、なにが書かれていたかというと…
横アーチは3つある!
と書いてあったんです。「えー!!横アーチって3つあったの??前足部の1つだけだと思ってた!」これが当時の私の正直な感想です
学校教育も含めて、足部の横アーチが3つもあるなんて教えてくれた事がある人は、私の周りにはいませんでした。それに当時の私は、横アーチは前足部のみと思ってて、アプローチしていましたが、大した結果は出せていませんでした
でも、3つもあるのにその中の1つにしかアプローチしてないなら、結果を出せなくても当たり前だったなと思い、どこかほっとした事も覚えています
例えば、美味しいピザを作るには、生地、ソース、トッピングの3つの要素が必要です
もし、生地だけを用意してソースやトッピングを準備しなかったら…ただの「焼いただけの平たいパン」ができるだけで、ピザとは言えませんよね
私が行っていた前足部への横アーチのアプローチは、まさにこの焼いただけの平たいパン作りででした。これだと、美味しくないのも、結果を出せないのも当たり前です
美味しいピザを作るには、すべての要素を揃える必要があるのと同じで、私は3つの横アーチそれぞれに対してアプローチする方法を考える事にしま した
全てを解決する「楔」のメカニズム

前足部の横アーチに対しては、母趾内転筋へのアプローチが有効だと考えました。というより、逆に言えばそれ以外にやる事がないなとも思いました。
そして、同時にもし横アーチが前足部にしかないと思っていたら、これだけで結果を出せと言われる方が難しいことも理解しました
そして、残る2つの横アーチの評価とアプローチ。これが、なかなか手ごわい相手でした…
ですが、この解決方法もまたあの伝説の名著にヒントが隠されていました。それこそが…
「楔」のメカニズム
です。横アーチの機能障害って実は「沈下」一択です
内側アーチや外側アーチは、高い、低いという2つの問題がありますが、横アーチに関しては高くなりすぎるという事はありません
下がって悪くなるという問題しか存在しないのです
だから「楔のメカニズム」を知ったあとは簡単でした。沈下しないようにするという事は、言葉を返れば「安定させる」ということ。じゃあ、アーチってどうやって安定してるんだ?という事を考えればよくて、それこそが「楔」のメカニズムだったんです
一般的な建築のアーチ構造も、要石を中心とした楔の構造になっているから、安定して大きな荷重にも耐える事ができますよね
それが、足部横アーチにもそのまま使われている事に気づいたんです
そして、私はそれから、横アーチの評価アプローチを磨き上げ、ついに最大の悩みだった腰椎圧迫骨折の患者さんへのアプローチにも自信を持って結果を出せるようになりました
もちろん、横アーチを扱えるようになったことで、外反母趾をその場でさっと改善することもできるようになったし、横アーチから全身への影響も考えて研究したので、変形性膝関節症、脳卒中、腰痛など…様々な病態にも横アーチへのアプローチから、の効果を出す事ができるようになりました


このように、横アーチで結果をだすための最大のカギはこの楔メカニズムを理解する事です。では、どのようなメカニズムで、どのようにその「楔」を作ればいいのか?
そのメカニズム、評価、アプローチをまとめたのが、今回ご案内する…
「局所と全身の視点から診る横アーチの評価とアプローチ―楔メカニズムとその調整技法の公開-」となります

足部横アーチに強くなれる
3つの理由
1.学びの裏技!最後から学ぶ事で最短距離で理解する

横アーチのことを勉強しようと思うとまず、
・解剖学…
・関節の動き…
・距腿関節…
・内側アーチ…
・外側アーチ…