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先生は、いつも同じことを
やってますね
——
その言葉をかけられたのは、私が理学療法士になって3年目、まだ臨床経験も浅かった頃のことです
当時、私が勤めていたのは慢性期の病院で、オペもなく、いわゆる“療養病床”が中心の環境。
寝たきりの患者さんが多く、認知症の方も多い場所でした
私は正直、仕事に対してあまり熱意を持てずにいました
「どうせやっても、やらなくても変わらないし。認知症もあるし、高齢者だし…」
——そんな言い訳ばかりを、心の中で探していたように思います。
でも、そのとき担当していた患者さんは違いました
認知症はなく、頭もはっきりしていて、いつも楽しくリハビリのお話をしてくださる方でした。
ただ、その方は“膝の痛み”を強く訴えていて、移乗動作も難しく、
ベッド上で端座位を取るのが精一杯の生活でした
この膝さえなんとかなれば、トイレくらいは行けるのに…

その患者さんは、よくこの言葉を口にされていました
そんな患者さんを私は、毎日病室から車椅子でリハビリ室へ連れて行き、
毎回、同じようなストレッチと筋トレをしていました。
そんなある時、その方にこう言われました。
「先生って、いつも同じことしてますよね?」
そのときは意味がよく分からず、私は「そうですね、大事な筋肉なので」と曖昧に笑って返事をしました。
ちょうど、ハムストリングスのストレッチをしていた時のことでした。
あの患者さん、リハビリの後はいつも膝の調子が悪くなるって、看護師に言ってたらしいぞ

だけど後になって、上司の理学療法士の先輩にこう言われました。
「山本、お前のストレッチ、ちょっと強すぎるかもしれないぞ。あの患者さん、リハビリの後はいつも膝の調子が悪くなるって、看護師に言ってたらしいぞ。」
その瞬間、私はハッとしました
リハビリの前後で評価をしっかりするよう、上司から何度も言われていたのに、私はそれを守っていなかった
痛みの変化も、歩行状態も、立ち上がり動作も——
本当は評価すべきことを、私は何一つ見ていなかった
それが大切だということは、知っていましたし、分かっていました
でも、どこかで「面倒くさい」「どうせ変わらない」と思って、